現場検証から死亡診断書を仕上げる実直な仕組み
1950年代後半の英国の邸宅を舞台に、検視官として遺体の状態や周囲の証拠を調べ、死亡診断書や救急活動記録の空欄を埋めていくアドベンチャーだ。現場に残された痕跡から被害者の身元、正確な死因、他殺か事故かといった事実を導き出し、自分の判断で公的記録として残す。正解をゲーム側から安易に教えてくれることはなく、書類上のすべての記入欄を整合性の取れた事実で埋めなければならない。
ヨーロッパの犯罪漫画を意識した手描きのビジュアルは落ち着いており、現場の観察に集中しやすい環境が整っている。血液の反応や外傷の観察といった法医学の知識を読み解きながら証拠同士を繋ぎ合わせる工程は、純粋な論理パズルとして筋が通っている。単に怪しい人物を指摘するだけでなく、死因の根拠を書類上で証明していく作業そのものに、このゲーム固有の面白さがある。

書類作成の厳密さが生む窮屈さ
書類の空欄を埋める行為自体は論理的だが、ゲーム側の求める記入形式がやや硬直している。頭の中で真相の道筋が完全に立っていても、診断書のどの欄にどの語句を当てはめるべきかの解釈で迷わされる場面が散見された。章ごとにミスした回数やヒントを使った回数が記録として残る仕様も、試行錯誤の足を引っ張っている。
間違えた際の減点を気にするあまり、大胆な推理の検証よりも入力枠の意図を察する作業になりがちだ。ヒント機能に頼ろうとしても根本的な解決に繋がりにくい箇所があり、推理そのものではなくシステムの入力ルールと格闘しているような感覚が残る。

現場と書類を行き来する作業感と操作性の課題
全12章の構成だが、序盤を抜けたあたりから空欄を埋めるための往復作業が目立つようになる。手がかりを求めて同じ現場を何度も調べ直し、書類と現場の間を行ったり来たりさせられる場面が多い。推理で真相に近づく面白さよりも、枠に当てはまる情報を探して画面を巡る作業感が強くなってしまい、テンポの悪さが気になってくる。
また、証言を確認したい特定の人物をすぐに選択できなかったり、画面切り替えのたびに挟まる細かなウェイトやチェック表示の硬直など、操作面の粗さが積み重なって集中力を削ぐ。エピソード2の筆跡確認に関する修正パッチが発売初日に配信されていたが、全体的な操作感のぎこちなさは依然として残っている。

日本語ローカライズの質と価格の納得感
Steamの国内売上ランキングで16位に入り、12万件のウィッシュリストを集めていたこともあって国内ストアでも一定の注目を集めている。日本語表示はインターフェースとテキストに対応しており、ボイスは含まれないものの、専門的な医学用語や公的文書の定型文を含めて翻訳の破綻はほとんどない。フォントが背景と重なって読みづらい箇所がわずかにある程度で、文章を読んで推理する分には十分な品質だ。
定価は1,656円と手頃で、全12章をじっくり解いて10時間強というボリュームを考えれば価格相応の価値はある。ただし、調査のテンポやUIの洗練度を重視するプレイヤーにとっては、細かい引っかかりがストレスとして蓄積しやすい。素材と題材の良さに対して、システム面の磨き込みが追いついていない印象だ。





コメント 1
人気順新着順Deckでプレイ。文字はデフォルトで読めるけどメニューの小さい項目は少し潰れるかな。TDP8Wで40fps安定、バッテリー3時間半はいけそう。ゲーム自体は死亡診断書のロジックが面白いけど、画面切り替えのラグが気になる。値段相応かな。